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    「加藤合同国際特許事務所~知財とびうめ便り~」 Vol.100

   発信日:2025年 1月 6日   発信者:加藤合同国際特許事務所
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◇ 目 次 ◇

1.所長コラム
  ◆新年のご挨拶

2.メルマガ100号発行記念コラム
  ◆100年前の知的財産

3.知財ニュース
  ◆滋賀県彦根市、「ひこにゃん」中国で商標登録へ

4.連載 知財講座
  ◆第100回:特許「発明の単一性」

5.所員ほのぼの日記
  ◆受験


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 1.所長コラム
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◆新年のご挨拶

 新年あけましておめでとうございます。

 旧年中は格別なご高配を賜り、まことに有難く厚く御礼申し上げます。
 本年も何卒宜しくお願い申し上げます。

 さて2024年を振り返りますと、能登半島地震の被災から始まり、日経平均株価が初の4万円を超えたり、一時1ドル161円の約37年ぶりの円安水準を更新したりするなど、常に外部環境は安定していないことを感じました。

 また長期的には、日本の人口減少、少子高齢化は確実にやってくる未来であり、様々な業界で必要な労働力を確保することが難しくなり、人口増の成長モデルを前提としたこれまで通りの方法は通用しなくなることでしょう。

 危機感の高まりは、工夫をする必要性にかられます。必要は発明の母といわれます。
 困難を乗り切り、未来を切り開いて行くためには、常に新たな工夫をし、知的財産を生み出し、守り、活用することが必要不可欠といえます。

 私どもは、知的財産を通じて少しでも皆様に貢献できるよう、持てる力を最大限発揮し邁進してまいります。

 皆様にとって良き一年となりますようお祈り申し上げます。

  所長 弁理士 南瀬 透


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 2.メルマガ100号発行記念コラム
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◆100年前の知的財産

 いつもご愛読頂きましてありがとうございます。
 2008年に発行を開始した本メルマガも、おかげさまで100号を迎える事ができました。

 今や情報発信の中心はSNSの時代であり、本メルマガもいつまで続けるかを模索中ではございますが、もうしばらくお付き合いいただけますと幸いです。

 さて、今年は昭和100年にあたるようです。そのため、100号を迎えた特集として、100年前の知的財産についてご紹介いたします。

 まず、知財制度の歴史ですが、国内最初の特許法は、欧米の特許制度に倣い1871年(明治4年)に布告された「専売略規則」です。といっても、制度の周知・利用が広がらず、また審査の人材不足等により、この規則は一年で施行中止となってしまいました。
 その後、1884年(明治17年)に最初の商標法である「商標条例」が制定、1885年に「専売特許条例」が制定され、また、1888年に最初の意匠法である「意匠条例」が制定され、改正を経て現行法に至っています。

 そして今から丁度100年前、先発明主義から先願主義に転換されたばかりの1925年と言えば、今でも私たちの生活に密接に関わる一つの大きな発明が登録されました。

 発明したのは、日本政府による十大発明家の一人にも選出された八木秀次(やぎひでつぐ)氏です。名前でピンと来る人もいるのではないでしょうか。

 それは、「八木アンテナ(※)」に名を残す、地上波放送の受信アンテナの技術に関する「電波指向方式」と呼ばれる発明です。「八木アンテナ」は世界中で価値が認められ、現在でも使用されているそうです。(※近年は、共同で研究を行った宇田氏の功績をふまえて「八木・宇田アンテナ」とも称されています。)

 また、100年前の商標(ブランド)について見ますと、蚊取り線香の「金鳥」で知られる大日本除虫菊株式会社が「鶏頭のイラスト」と「KINTORI」の文字を組み合わせた商標(第101811号)、及び、「KINTORIKO」と「金鳥香(きんとりこう)」の文字を組み合わせた商標(第105900号)を1919年に登録していました。
 当時の資料が見当たらないので推測になりますが、ひょっとすると、当時、「金鳥」は「キントリ」という読みの商品として売り出していたのかもしれません。
 1922年の「金鳥(キンチョー)かやいらず」を皮切りに、これ以降はすべて「金鳥(キンチョー)」あるいは「金鳥香(きんちょうこう)」の文字で登録されていますが、もしも、1919年の「キントリ」の読みが広まり、定着していれば、かつてテレビから聞こえていた「金鳥の夏、日本の夏」は、「キントリの夏、日本の夏」だったのかもしれませんね。

 現在も、毎年数万件の特許や商標等が出願・登録されています。このどれほどが100年後の人々の記憶に残るものかは分かりませんが、少なくとも出願・登録の記録は残ります。
 昔はどんな発明やブランドがあったんだろう?と100年後の人がこの記録を見るかもしれません。そう考えると、あなたも知財にロマンを感じませんか?


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 3.知財ニュース
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◆滋賀県彦根市、「ひこにゃん」中国で商標登録へ

 滋賀県彦根市は11月18日、市のキャラクター「ひこにゃん」の関連商品の海外展開に向けて、中国で商標登録すると発表しました。
 登録に必要な委託料42万9000円を盛り込んだ一般会計補正予算案を、25日開会の市議会11月定例会に提案しています。

 市エンタテインメント課によると、中国・上海で今春開業予定の百貨店内で、日系企業がひこにゃんのキャラクター商品を販売することが決定され、これを受け、トラブル回避や模造品対策のために権利を明確にする必要があると判断したとのことです。


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 4.連載 知財講座
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◆第100回:特許「発明の単一性」

 特許出願における一願書で請求できる発明の範囲(いわゆる「発明の単一性」)については、特許法第37条に定められています。この要件において、二以上の発明が一定の「技術的関係」を有している必要があります。

<技術的関係と特別な技術的特徴>

 「技術的関係」の具体的な基準は、経済産業省令によって詳細に規定されていますが、基本的には以下のように判断されます:
・二以上の発明が同一または対応する**「特別な技術的特徴」**を有しているかどうか。

 ここで、「特別な技術的特徴」とは、発明が先行技術に対する貢献(すなわち先行技術との差異)を明示する技術的特徴を指します。このため、「特別」であるためには、その特徴が発明の先行技術に対する貢献をもたらすものである必要があります。

<発明の単一性が満たされない場合>

 同一のまたは対応する特別な技術的特徴が存在しない場合、発明の単一性の要件を満たさないと判断されます。この場合、特許庁から拒絶理由通知を受けることになり、以下の対応が必要です:
1.分割出願の提出
2.「特別な技術的特徴」を有するよう補正する

<シフト補正の禁止(特許法第17条の2第4項)>

 平成18年の特許法改正により、平成19年4月1日以降の出願については、いわゆるシフト補正の禁止が適用されます。この規定により、拒絶理由通知において特許性が認められた請求項と補正後の請求項が、発明の単一性の要件を満たすようにしなければなりません。

<シフト補正の禁止の具体例>

・請求項1: 構成要素A
・請求項2: 構成要素A+B
・請求項3: 構成要素A+C

 この場合、もし請求項1が新規性なしと判断された場合、請求項1と請求項2・3との間で単一性の要件が満たされなくなります。結果として:
・請求項2のみ審査が進み、特許性が判断される可能性がある。
・請求項3については審査が行われず、分割出願が必要となる。

 さらに、構成要素Bを追加せず、構成要素Aをわずかに明確化する補正で単一性を満たせる場合でも、シフト補正の禁止によりその補正は許されず、やはり分割出願が必要となります。

<未然に防ぐための対策>

 このような問題を防ぐためには、以下の点を意識することが重要です:
1.出願前に先行技術や公知文献の調査を十分に行うこと。
2.過度に広すぎる請求項を避け、明確で適切な範囲の請求項を作成すること。


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 5.所員ほのぼの日記
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◆受験

 お正月も明け、ついに受験シーズン到来。
 中学3年生がいる我が家も例外なく、思い描いていたものとは懸け離れた状況ではありますが、何とか乗り切ってほしいと願う毎日です。

 福岡の高校受験は、基本的には私立1校、公立1校に絞っての受験は昔と変わらずですが、推薦に加え、特色化選抜、専願等の制度が増え、公立高校は評定(内申点)を重視する等、制度は変化している様です。

 中でも、戸惑ったのは、出願のオンライン化です。ほとんどの高校がオンライン出願を導入しており、12月初旬に行われる中学校の「三者面談」の際、そのまま同日に「オンライン出願」を行うことになっていました。

 まず、「三者面談」とはありますが、実際はどこを受けるかの意思確認のみでした。(それまでは志望校については希望の書類しか提出していないのですが。。)

【1】 面談日までに各自の受験校を確定し、その学校での出願方法(オンライン有無や印鑑有無、ログインIDの設定など)を予習する。
【2】 面談日当日は、志望校を先生に伝え、学校の控え書類に志望校を記入するだけ。
 ※一つの教室に3クラスの先生がパーテーションを挟んで座っており、ほぼ筒抜けの状態だったのです!受験校はあまり公表しない様に思いますが、なぜ?!
【3】 別教室でオンライン出願の手続きを行う

 前述の通り【2】の面談は10分もかからず、【3】の手続きで指定の教室(理科室)に入ってみると、何もない各テーブルに10組ほどの親子が携帯を見ながら座っています。私の勝手な思い込みではありましたが、(当日の持ち物に、親のスマホ(パスワード確認用)または生徒用タブレットとはあったけれど。。)てっきり出願用の端末(パソコンやタブレット)等が設置されており、先生チェックのうえ出願かなーと思っていたので、各自のスマホをポチポチしながら出願するなんて不安すぎる!私が仕事で特許出願する際も、何重にもチェックしたうえなのに!!

 しかも困ったら先生を呼ぶ方式だったため、複数の親が手を挙げ先生を待ち、学校毎に操作画面が違うからか、先生も確認してはくださるけれど大丈夫感が薄い。【2】の面談の最後に、学校で願書と受験票を管理する為?に、「支払いの画面まで進めてください。クレジットではなく、必ずコンビニ支払いを。」と言われて送り出されたにも関わらず、受験校によって違いがあるのか、支払い前までをチェックしていただいた先生に「本日はここまでで」と言われ、不完全燃焼。緊張していた私はぐったり疲れて帰ったのでした。

 結局、無事に出願はできていたのですが、今回の出願で、変化(進化)を受け入れることも大事ではあるけれど、その変化が良いかどうかはわからないなと考えさせられました。

 現在の公立中学校の成績は、各教科のテストはもちろん「〇〇点」と明確に出ますが、総合的な順位は分布表のみで、漠然と〇~〇点の人は〇人で、あとは自分の点数がどこに該当し、その〇人中に含まれることまでしかわからない。年に数回(今年は4回)ある福岡県全体の学力テストでは、県平均と学校平均が出るが、偏差値や受験校などの目安データはなし。

 その漠然とした結果でどの様に志望校を決めたら良いのかと思いますが、結局生徒はほぼ全員塾に通っており、塾でのテストと情報を頼りに塾での相談で志望校を決め、最終決定として当日学校の先生に伝えている様に思います。塾に行かなかった場合は?私なら不安です。

 とは言え、塾の先生情報では、公立中学とはいえ学校によってレベルがかなり違う為、学校の成績・順位を鵜呑みはできないそうなので、学校の先生方も何とも言い難いのかもとも思います。

 また、公立高校の評定(内申点)問題。現在の受験では公立高校の合格要否には、「評定」と「当日の試験結果」の両方で判断される為、評定が基準に満たされなければ合格は難しく、最後の頑張りで当日のテストが高得点でも関係ないそうです。日々の学校生活での提出物や小テスト、授業態度が悪かった場合は、最後に心を入れ替えて頑張っても挽回できない。

 確かに私の受験情報は30年近く前で古く、漏れなく考えも古くはあるけれど。。現在の受験生って大変!
 無事に春が来ます様に☆彡

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