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    「加藤合同国際特許事務所~知財とびうめ便り~」 Vol.67

   発信日:2019年 7月 1日   発信者:加藤合同国際特許事務所
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◇ 目 次 ◇

1.弁理士コラム
  ◆がん免疫治療薬「オプジーボ」と最近の話題

2.知財ニュース
  ◆建設分野の特許出願件数で、グーグル、サムスン電子が上位に

3.連載 知財講座
  ◆第67回:特許「自然法則の利用」とは

4.事務所からのお知らせ(イベント含む)
  ◆2019年度初心者向け知的財産権制度説明会
  ◆補助金・助成金制度のお知らせ
  ◆「アット商標」に掲載された商標のご紹介

5.所員ほのぼの日記
  ◆昔、趣味といえば「山登り」


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 1.弁理士コラム
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◆がん免疫治療薬「オプジーボ」と最近の話題

 昨年、ノーベル生理学・医学賞が、免疫を抑制するタンパク質を発見し、がん免疫治療薬「オプジーボ」の開発に繋げた本庶佑(ほんじょ たすく)京都大学特別教授に対し贈られたことはご承知の通りです。

 本庶教授は、平成4年(1992年)に、免疫を担う細胞の表面にあるPD-1(Programmed Death-1)タンパク質を単離し、マウスを使った実験でがん細胞への免疫を抑えるブレーキとして働いていることを発見され、小野薬品工業(株)が臨床試験を行い平成26年〈2014年〉に免疫チェックポイント阻害薬(オプジーボ)として発売がされました。

 当初、国が承認した治療対象は皮膚がんの悪性黒色腫でしたが、その後肺がんや胃がんなどへも拡大し、将来はがんの標準的な治療法の一つとして普及が期待されています。

   本件は、産学連携の類まれな成功例といわれていますが、その経緯や関連する特許、そしてオプジーボを巡る最近の話題につき少しご紹介を致します。

   PD-1遺伝子に関する特許は、1996年6月に本庶教授及び小野薬品工業にて共同出願され、10年に亘る本庶研究室における基礎研究の後、PD-1のシグナル阻害によりがん治療を行うことを目的とした用途特許が2002年に共同出願されました。

 この用途特許を評価した米国のバイオスタートアップ企業のメレダレックス社が共同研究に参画し、後にオプジーボとなる抗体を作成したとされています。その後、メレダレックス社はブリストル・マイヤーズスクイブ社(BMS)に買収され、グローバルな臨床開発が可能となり、実用化に至っています。

 本ケースでは、本庶教授によるPD-1発見とその後の地道な基礎研究、それを支えた小野薬品工業と米国のメレダレックス社、そして世界有数の大手製薬会社のBMSとの結びつき、および適切な国内外での特許出願と権利化が相俟ってブロックバスター薬(年間売上1,000億円以上の超大型医薬品)の市場化に至ったものといえます。

   ところで、今年の4月になって、本庶教授が、小野薬品と共同で取得した上記特許の対価について引上げを求めており、2016年に締結した契約について契約時の説明内容が不正確だったと同社を批判していることが報じられました。また、先月には、米国特許に関しボストン連邦地裁から、ダナファーバーがん研究所のゴードン・フリーマン氏ら2人の研究者を追加発明者とする判決が出されています。

 前者は産学連携を進める上での課題に、後者は発明者の特定という基本的な課題に関しており、また、何れも本庶教授、小野薬品工業の特許収入と直接関係するものであり、今後の展開が気になるところです。

  弁理士 久保山 隆


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 2.知財ニュース
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◆建設分野の特許出願件数で、グーグル、サムスン電子が上位に

 特許庁は、2018年度の次世代建築技術(建設技術とICT(情報通信技術)の融合分野)に関する特許出願動向報告書を公表しました。

 2005年~2016年までの累計国内出願件数は、21,280件で、国籍別の比率では、日本国籍が31.6%とトップで、中国籍が24.2%、米国籍が19.5%となっています。特にここ数年、中国籍の出願が急増し、2016年は約1600件(日本国籍件数:約600件)となっています。

 2011年~2016年の出願人のランキングでは、パナソニック(279件)、大和ハウス工業(188件)、清水建設(179件)の国内勢が1~3位を占めています。海外企業の日本の建設市場参入は難しいと言われるなかで、4位にグーグル(166件)、5位にハネウェル(141件)の米国企業が入っています。さらに12位にサムスン電子(104件)、15位にIBMと続いています。

   以前は、建設業界と無縁と思われていた海外のICT企業の特許出願が増加傾向にあることから、今後、建設業とICTとの融合領域においては、建設業以外の業種との競争や協業が必至になると考えられます。

 詳細は、下記のURLをご覧ください。
 [URL] https://www.jpo.go.jp/resources/report/gidou-houkoku/tokkyo/document/index/30_03slide.pdf

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 3.連載 知財講座
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◆第67回:特許「自然法則の利用」とは

 「自然法則の利用」とは、特許法第2条第1項に規定されている「発明」の要件の一つです。
 したがって、アイディア自体が斬新であっても自然法則を利用しないものは発明ではないため、特許の対象とはなりません。

 例えば以下のようなものは、自然法則を利用したものではないため、特許法における「発明」には該当しないものとされています。

(1)自然法則自体
 「発明」は自然法則を「利用」したものでなければならないため、エネルギー保存の法則、万有引力の法則などの自然法則自体は「発明」に該当しないものとされています。

(2)自然法則に反するもの
 熱力学第二法則などの自然法則に反するもの(永久機関など)は「発明」に該当しないものとされています。

(3)自然法則を利用していないもの
 自然法則以外の法則(例えば、経済活動)、人為的な取り決め(例えば、ゲームのルールそれ自体)、数学上の公式、人間の精神活動や、これらのみを利用したビジネスを行う方法などは、自然法則を利用したものとはいえず、「発明」に該当しないものとされています。

 なお、自然法則を一部に利用しない部分があっても、全体として利用しているときは、自然法則を利用したものとなるとされていますが、どのような場合に、全体として自然法則を利用したものとなるかについては具体的な判断基準がありません。

 請求項の書き方次第では、自然法則を利用した発明と判断されたり、自然法則を利用していないと判断されることがあります。

 このように自然法則の利用についての判断は難しいため、判断に迷われるときはお気軽にご相談ください。

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 4.事務所からのお知らせ
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◆2019年度初心者向け知的財産権制度説明会

 特許庁は、5月から9月にかけて、全国47都道府県で、これから知的財産権制度を学びたい方、知財部門に新しく配属された方などの初心者の方を対象に、知的財産権制度や、各種支援制度等についての説明会を開催します。九州・沖縄での開催日は、次の通りです。

 なお、参加は事前の申込みが必要です。参加費は無料ですので、この機会にぜひご参加ください。

 福 岡1:6月26日(水)※開催終了
 福 岡2:9月 6日(金)
 佐 賀 :6月27日(木)※開催終了
 長 崎 :7月23日(火)
 熊 本 :6月25日(火)※開催終了
 大 分 :9月 6日(金)
 宮 崎 :7月30日(火)
 鹿児島1:6月21日(金)※開催終了
 鹿児島2:8月28日(水)
 沖 縄 :7月17日(水)

 詳細は、下記のURLをご覧ください。
 [URL]http://www.jiii.or.jp/2019_shoshinsha/area.html#kyushu_okinawa

◆補助金・助成金制度のお知らせ
【中小企業等外国出願支援事業】について

 特許庁は、外国への事業展開等を計画している中小企業等に対して、外国出願にかかる費用の半額を補助します。

 補助率:1/2
 上限額:1企業に対する上限額:300万円(複数案件の場合)
 ※案件ごとの上限額:
   特許        150万円
   実用新案・意匠・商標 60万円
   冒認対策商標     30万円

 ・ジェトロ(日本貿易振興機構)の応募受付期間:
        6月24日(月)~7月29日(金)
 ※ 応募期間は短いですので、ご注意ください。

 募集状況や応募資格につきましては、下記のURLをご覧下さい。
 [URL] https://www.jetro.go.jp/services/ip_service_overseas_appli.html

◆「アット商標」に掲載された商標のご紹介
 登録商標売買の支援サイト「アット商標」に掲載された販売希望商標のご紹介です。
 詳細は「アット商標」( http://www.a-shohyo.com/ )でご確認いただけます。

 <5月公開> 全23商標

 商標1「ClearShield\クリアシールド」(満2020.2.20)
 商品:スマートフォン・携帯電話・携帯情報端末機器又はコンピュータの周辺機器 など
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 商標2「ネオクリア\NeoClear」(満2025.3.6)
 商品:LEDを用いた電球、LEDランプ など
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 商標3「Oulm」(満2020.6.5)
 商品:時計、貴金属、宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品、キーホルダー、宝石箱、記念カップ、記念たて、身飾品
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   商標4「ERPC」(満2020.7.10)
 商品:財布、かばん類、袋物、携帯用化粧道具入れ、傘、ステッキ、つえ、つえ金具、つえの柄、愛玩動物用被服類
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 商標5「OHSEN」(満2021.1.29)
 商品:時計
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 商標6「DOUBLE FLANGE」(満2021.4.15)
 商品:時計及びその部品並びに附属品
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 商標7「LipoGuard」(満2021.4.15)
 商品:リチウムイオンバッテリー保管用のプラスチック製包装用袋、プラスチック製包装用袋
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 商標8「safebet」(満2021.4.22)
 商品:防水バッグ、かばん類、袋物
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   商標9「RGKNSE」(満2021.6.10)
 商品:電子応用機械器具及びその部品、電気通信機械器具 など
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 商標10「icanany」(満2021.6.10)
 商品:電子応用機械器具及びその部品、電気通信機械器具 など
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   商標11「NOOSY」(満2021.8.5)
 商品:電子応用機械器具及びその部品、電気通信機械器具 など
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 商標12「CQC」(満2021.10.7)
 商品:家庭用テレビゲーム機用のコントローラ及びその部品・附属品
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   商標13「MooreCarden」(満2022.2.3)
 商品:ショルダーバッグ、バッグ、財布、かばん類、袋物
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   商標14「CEDAR GREEN」(満2022.6.9)
 商品:シューツリー、シューズキーパー
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   商標15「MySpin」(満2022.8.4)
 商品:おもちゃ
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   商標16「VOX+\VOX PLUS」(満2023.11.30)
 商品:眼鏡、電子応用機械器具及びその部品、電気通信機械器具 など
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 商標17「I-FlashDevice」(満2022.12.1)
 商品:スマートフォン用のカバー、写真機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品 など
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 商標18「Chuan Lu」(満2023.5.11)
 商品:ゴム・皮・プラスチックなどの硬度を計測するための硬度計測器
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 商標19「BOBOVR」(満2023.7.6)
 商品:オーディオスピーカー及びその附属品、写真機械器具 など
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 商標20「actto」(満2022.4.7)
 商品:ブックスタンド
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 商標21「R-SIM」(満2026.5.13)
 商品:電子応用機械器具及びその部品、電気通信機械器具 など
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 商標22「ワンウエア」(満2028.7.13)
 商品:愛玩動物用被服類、被服
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 商標23「La;Kuu」(満2028.2.16)
 商品:被服
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   興味のある商標がございましたら、shohyo@kato-pat.jp宛に気軽にお問い合わせください。

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 5.所員ほのぼの日記
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◆昔、趣味といえば「山登り」

 今年も早いもので半年が過ぎ、7月となりました。梅雨が明ければ、本格的な夏山シーズンが到来します。昔、あなたの趣味は何ですかと問われると、真っ先に山登りと答えたものです。

 20代から50代前半にかけて、若いときは、年に30日間は山に行っていました。日本で3千メートル級の峰々が連なる北アルプス、南アルプス、中央アルプス等の山々は、殆ど全て登りました。今は、昔の山登りにかけた情熱はどこかに吹っ飛んでしまい、年1回程度しか登っていません。

 この約30年間の山登りの中で、今でも記憶が鮮明に残っていることを3つほど紹介します。

 1つ目は、男二人で夏の八ヶ岳(山梨・長野両県に跨る山々の総称で最高峰2800m)を縦走し、疲れはてて下山の途中で、若い女性のはしゃぐ声が聞こえてきました。そこで、聞こえた方向に山道から外れて行くと、若い女性2名の露天風呂を楽しんでいる姿が目の前に現れました。もちろん素っ裸ですよ。おー、これは神様の贈り物?と思いつつ眺めていると、山の疲れがいっぺんに吹っ飛びました。もう少し近づきたかったのですが、気付かれそうなので諦めました。その後は、気分良く下山しました。

 2つ目は、3月単独で冬の西穂高岳(北アルプスにあり標高2701m)に登るため、西穂高山荘(冬も営業)の近くに雪の上にテントを張って休んでいたとき、テントがノックされ、山荘の人より男女二人が、昨夜から山荘に戻っておらず、遭難したみたいなので、捜索に加わってほしいとの要請でした。捜索者は総勢20名程度だったと思います。各自、山荘を中心に雪の中を捜索していた最中に、おーい見つけたぞーとの声が届き、声の方向に皆が集まりました。

 林の中に男女二人が雪に埋もれていました。全員で雪を取り除いていくと、目が窪み白く凍った顔が現われ、わーと私の心も一瞬に凍ってしまいました。その後、ソリに乗せて全員でヘリコプターの離着のところまで運び、ヘリコプターに乗せて飛び去るまで全員で黙祷していました。その晩、白く凍った顔が浮かんできて、なかなか寝付けませんでした。翌日は、無事西穂高岳に肝を冷やしながら登頂に成功しました。周りは誰もいませんでしたが。

 3つ目は、今から40年以上昔、世界最高エベレストを目の前で見たくて、5月の連休に有休を付けて約2週間の休みを取り、エベレストトレッキングに参加したことです。現在、このエベレストトレッキングコースは、世界中から年間数万人が押し寄せる超人気コースになっています。40年以上昔は、まだまだ参加者は非常に少なかったです。ヤクに荷物を載せシェルパに連れられて進んでいくと、雪に覆われた6千メートル級の山々が目の前に次々に現れ、その雪に輝く山の美しさに魅了されました。

 そして、ついにエベレストが姿を現し、大感激。天を貫く高さを誇る圧倒的な迫力で迎えてくれました。その地点の高さは、富士山よりはるかに高い4300mでした。そうそう途中で、平屋の建物があり、尋ねると日本人の手で地元子供たちのために建てた学校ですよとの回答に、驚きと日本人はすごいと感激した記憶があります。

 まだまだ印象に残っている体験はありますが、この辺で終わりとします。山登りは、重力に逆らって登るため、どうしても体力勝負になり、年を取ると共に疎遠になります。しかし、山は下界では味わえない自然に満ち溢れ、気分をリフレッシュさせてくれます。皆さんもぜひ機会を作って山登りを体験されたらいかがでしょうか。

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