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「加藤合同国際特許事務所~知財とびうめ便り~」 Vol.64
発信日:2019年 1月 4日 発信者:加藤合同国際特許事務所
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◇ 目 次 ◇
1.弁理士コラム
◆新春のご挨拶
2.知財ニュース
◆2017年全世界特許出願数は約317万件、中国がシェア4割超で7年連続1位、日本は3位
3.連載 知財講座
◆第64回:外国商標「マドプロ出願」
4.所員ほのぼの日記
◆「下町ロケット」を観て
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1.弁理士コラム
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◆新春のご挨拶
新年明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
皆様どのようなお正月をお迎えになられたでしょうか。
人間の本質的なことは昔も今もさほど変わらないはずですが、世の中の変化のスピードは年々早くなるように感じます。そのような変化が果たして良い方向に向かっているのか私にはよくわかりません。
さて、本年は私が事務所を創業して25年目の年となり、また、65歳という節目の年を迎えます。兼ねてから考えていたことですが、本年末をもって加藤合同国際特許事務所の代表を若い世代にバトンタッチし、来年2020年1月1日からは、経営者をはなれ一弁理士として活動してまいりたいと考えております。
あと一年ありますが、この25年間、皆様には本当にお世話になりありがとうございました。この場を借りて御礼申し上げます。
25年前、平成6年3月1日に博多区役所の隣のマンションの一室で、たった一人での創業でした。他の創業者もそうであるように、全く先行きの見えない真っ暗闇の中でのスタートで、あるのは唯々これから先生きていけるかその不安だけでした。
そのような私を支えてくれたのは、家族や所員はもちろんですが、「ものの考え方」でした。苦しみがあったればこそ、どのような逆境にあっても、「心ひとつの置き所」で生きていけることを知ることができました。中村天風氏、安岡正篤氏、鍵山秀三郎氏、致知をはじめ多くの書籍、そして、名も無くても一生懸命生きている多くの方々の生きざまでした。
「あなたの仕事がお客様にとってかけがえのないものであれば、決して廃れることは無い」
創業時に出会い、25年間私を支え続けてくれた言葉です。
私はこの言葉を胸に、この25年間を生きてきたように思います。
25年前平成6年は、日本経済がそれまでの成長路線から右肩下がりに転じた年でもあり、また、この25年間は、大企業の破綻や、中国の台頭に代表されるように特許業界にとっては激動の25年だったと思います。そのような中、自分で言うのもおかしいですが、特段の才能もない私が、良くここまでやってこれたと思っています。
特許業界は今劇的に変化しています。その変化はどうすることもできません。その中で生き延びていけるか否かは、ただただ、私どもがお客様にとって本当にかけがえのない存在になれるか否かにかかっています。
残された今年一年、燃える尽きる気持ちで全力投球し、今までお世話になった方々に少しでも恩返しができる年にしたいと思っています。
皆様にとっても良い一年となりますよう、祈念申し上げます。
代表 弁理士 加藤 久
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2.知財ニュース
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◆2017年全世界特許出願数は約317万件、中国がシェア4割超で7年連続1位、日本は3位
世界知的所有権機関(WIPO)は12月6日、2017年の世界の特許、商標、意匠の出願件数などをまとめた「世界知的所有権統計」(World Intellectual Property Indicators )を発表しました。
世界全体の総出願件数は、前年比1.1%増の316万8900件となり、8年連続の増加なりました。毎年大幅増が続く中国が今年も全体の伸びのけん引役となっています。
国別では、中国が138万1594件(前年比14.2%増で全体の43.6%を占め7年連続1位、続いて2位アメリカの60万6956件(同0.2%増)、3位日本の31万8479件(同0.03%増)で、いずれも伸び悩んでいます。また、4位韓国20.5万件(同1.9%減)、5位欧州16.7万件(同4.5%増)となっており、上位5位の全体に占める割合は84.5%となっています。
また、世界全体の商標出願件数(件数=区分の数)は、前年比26.8%増で911万件です。国別では、中国が圧倒的な1位で570万件(世界の約63%)、2位アメリカ61万件、3位日本56万件、4位欧州37万件などとなっています。
詳細は、下記のURLからご覧いただけます。
https://www.wipo.int/pressroom/en/articles/2018/article_0012.html
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3.連載 知財講座
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◆第64回:外国商標「マドプロ出願」
1.通常、外国で商標登録をする場合は、それぞれの国に個別に出願手続を行う必要があります。
しかし、出願国が1~2ヶ国であればまだしも、数ヶ国、十数ヶ国、数十ヶ国になると、手続や管理が非常に煩雑になります。
そこで、いわゆるマドリッド協定議定書という条約に基づく国際登録出願(マドプロ出願)を利用すれば、一つの願書で複数国に一括して手続を行うことでき、手続や管理の簡素化が図れます。
2.手続の概要
このマドプロ出願の簡単な流れですが、日本での商標の基礎出願・基礎登録があることを前提にして、日本国特許庁に願書を提出します。特許のPCT国際出願とは異なり、最初から権利化を希望する国を指定します。
出願後、日本国特許庁から国際事務局に出願書類が送られ、形式的な審査を経た上で、国際登録がされます。この国際登録は、国際事務局での国際登録がされたということにとどまり、各国での商標登録が完了したことを示すものではありません。
その後、各国の特許庁において審査が開始されます。国際事務局が一括して実体審査を行うのではなく、各国の特許庁がそれぞれ独自に審査を行います。国によって異なりますが、商標に識別力があるか、類似の先行商標がないか等が審査されます。
無事に審査を完了したら、国際事務局を通じて、各国での登録が完了することを示す通知が送られてきます。
審査で登録ができないことが判明したら、拒絶理由等が通知されます。このときは、当該国の現地代理人を選定して応答するのが通常です。応答手続が行われれば再度審査が行われ、問題がなければ、国際事務局を通じて、各国での登録が完了することを示す通知が送られてきます。
3.出願の要件
マドプロ出願を行うためには、以下の要件を満たす必要があります。
【1】日本国特許庁において既に商標出願または商標登録がされていること(基礎出願または基礎登録)。
【2】商標が同一であること
【3】指定する商品および役務が同一であるかその範囲内であること
【4】出願人または名義人が同一であること
4.メリット
マドプロ出願のメリットとして、以下が挙げられます。
【1】一通の願書で複数国に出願できるため、出願の手間を省けます。
【2】出願段階では各国における現地代理人を選定する必要がないため、それぞれの国に個別に出願する場合と比較して、出願時のコストを削減できます。
【3】審査の期限が決められています(領域指定の通報日から1年または1年6ヶ月)。このため、それぞれの国に個別に出願する場合と比較して、早期に登録を完了できることが多いといえます。
【4】権利期間の更新等の手続を一括して行えるため、権利の管理が容易となります。
5.デメリット
以上に対し、マドプロ出願のデメリットとして、以下が挙げられます。
【1】日本における商標の基礎出願または基礎登録が必要です。マドプロ出願時には日本の出願があれば足りますが、最終的に日本で商標が登録される必要があります。
【2】マドプロの加盟国への出願に限られます。マドプロ加盟国は102ヶ国(2018年12月末)です。近時、タイやインドネシアが加盟国になりましたし、近々、カナダが加盟国となります。しかし、台湾、香港、マレーシアなどは依然としてマドプロ加盟国ではないため、これらの国には別途、個別に出願する必要があります。
【3】セントラルアタックにより国際登録が取り消される可能性があります。すなわち、国際登録日から5年を経過する前に基礎出願または基礎登録が拒絶・無効等になった場合は、国際登録もその拒絶・無効等になった範囲内で取り消されてしまいます。
【4】各国で商標の態様を変えるなど、各国の事情に応じた出願ができません。
【5】各国の指定商品・指定役務は基礎出願・基礎登録の範囲内という制限があるため、各国独自の記載が認められない場合があります。また、区分の変更が認められていないため、日本とは区分が異なる国においては登録を受けられないことがあります。
【6】各国の審査で拒絶理由が通知された場合、現地代理人を通じて手続を行うことが必要となります。対応するための費用が必要となり、また国によっては、対応後、現地代理人を通じて登録証が送られる場合があります(登録証送付の費用がかかる場合があります)。
6.以上のように、メリットとデメリットの両方がありますので、外国への商標登録出願にあたっては、個別に各国出願をするのか、マドプロ出願をするのか、個別具体的に検討することとなります。ケースバイケースですので、是非とも弊所にご相談下さい。
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4.所員ほのぼの日記
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◆「下町ロケット」を観て
昨年の秋から、毎週楽しみに観ていたテレビドラマ「下町ロケット」が1月2日の新春ドラマスペシャルで最終回となりました。
知財に携わる身として、このドラマは外せない!との思いがあった・・と言えば聞こえはいいのですが、実は、2015年の前作放送のとき、お客様との打ち合わせで、「もちろん観ているでしょ」との勢いでこのドラマの話を持ち出され、苦笑いしかできなかったことがありました。
そのため、今作は、放送前から要チェックや!と意気込み、1月2日は、妻の実家にもかかわらず、テレビに噛り付いていました。
期待通り、いや期待以上に面白かったです。
特許絡みのストーリーは、テレビドラマとして、テンポよく、ドラマチックな展開にするため、突っ込みどころもありましたが、よくできていて、最後までワクワクしながら楽しめました。
そして、最後の佃 航平(阿部 寛)の言葉には心が震えました。以前、モノづくりの現場にいた身として、改めて、ユーザーと直に触れ合えるモノづくりっていいなぁと感じました。
今、私は、残念ながらドラマの軸にあった特許ではなく、デザイン(意匠)やブランド(商標)の権利化のお手伝いをするのが主な仕事です。
ですが、トランスミッションのような機械装置の開発では、やはり特許が重要になりますが、業種によっては、意匠、商標の方が重要になる場面も多いです。商品デザインもビジネスモデルも、日々、多様化し、進化していくので、自分の感性が時代遅れにならないように研鑽しつつ仕事をするのは大変ですが、佃 航平の言葉に、新年から改めて、お客様の事をとことん考える大事さを感じました。
ここ数年、全国的には低いとされる九州地区の知財意識を高めることを目標に、事務所をあげての営業活動に取り組んでいますが、このようなドラマ一つで、自分たちがやっている何十・何百倍もの訴求力があるんだろうなと思うと、少し虚しさを感じます。
でも、少しでも多くの人に知財の大切さと、面白さに気づいてもらえればいいなと感じました。
そして原作を読みつつ続編を楽しみにしようと思います。
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