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「加藤合同国際特許事務所~知財とびうめ便り~」 Vol.60
発信日:2018年 5月 1日 発信者:加藤合同国際特許事務所
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◇ 目 次 ◇
1.弁理士コラム
◆信頼関係と契約社会
2.知財ニュース
◆キッコーマン 「しょうゆ卓上びん」で立体商標登録
3.連載 知財講座
◆第59回:商標「最近の判決から学ぶ商標の重要性」
4.事務所からのお知らせ(イベント含む)
◆売買希望の新着商標紹介(アット商標)
◆商標の審査に関する運用の改定
5.所員ほのぼの日記
◆ラオスでの生活
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1.弁理士コラム
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◆信頼関係と契約社会
「約束を守る」ということ・・・これを大事ではないと思わない人はいないでしょう。
実際、近代の国家はこの「約束を守る」ということを前提にして成り立っていますし、この前提があるからこそ、経済も発展できるわけです。もし、約束が守られない社会があったら、もうビジネスどころではないでしょう。購入代金を払っても品物は来ない。商談もごまかしばかり。こうなったら、契約は成立しません。契約したところで、守られる保証はないわけですから。
こういう社会の国は経済的にかなり苦しくなります。外国からの投資もないでしょうし、外国から企業が進出することもないからです。一時期の中国を考えてみれば、よくわかります。
つまり、「約束を守る」ということは、社会や経済が成長するために、最も大事な要素であるわけです。現代では、この「約束を守る」ということを実現するために、契約書を交わすということを行います。
一昔前の日本では、契約書と言っても、紙一枚とか、せいぜい二枚とか、その程度でした。一方、欧米では、起こりうるケースを全て想定して契約書を作るものですから、一冊の分厚い本みたいになることもしばしばあります。日本でも、これではいけないということで、最近では、契約書も長くなってきました。
なぜ、こういう違いが起こるのか。欧米では、人は約束を守らないものという性悪説に立つからです。だから、契約書で縛ろうとします。
では、日本はどうでしょうか。日本人は当たり前すぎて気が付いていないかもしれませんが、「約束を守る」ということについて、日本人はおそらく世界で一番と言える民族です。だから、それほど契約書をうるさく作る必要もないし、欧米人から見たら、いい加減極まりない契約書で済んでいるわけです。
昔から、商店街には、その地域に根付いた電器店が必ず一つや二つはありました。最近では、家電量販店に押されて、都会ではほぼ全滅状態です。こういう電器店は、家電が故障すれば、電話一本ですぐに来て直してくれる、しかも、ちょっとした修理はだいたい無料。加えて、どんなに古い製品でも、保証期間なんかはまず関係なし。今でも、昔の電器店は重宝した、と言う人はかなりいます。
なぜ、こうなるかと言うと、次に買うときもその電器店で、という暗黙の了解が双方にあったからです。むろん、契約書なんかを交わす訳ではありません。言うなれば、信頼をベースにしたお付き合いというところです。
もちろん、量販店では昔の電器店のような訳にはいきません。修理を頼もうと思ったら電話して予約を取らないといけない、無料ということは絶対にない、保証期間内かどうかで料金もかなり変わってくる・・・という具合です。
結局、短期的には、欧米式の契約書を交わすのがいいのかもしれません。ただ、長期的に考えると、昔の商店街の電器店のような緩い関係のほうがお互いに得になるような気がします。
日本人社会は、昔から、このようなコミュニティを上手につくってきました。一見すると、緩すぎる(欧米人から見れば「あいまいな」)約束だけれども、その緩さやあいまいさこそが、結局は、高度な約束の形になっているのです。おそらく、欧米人には理解すらできないでしょう。日本人の昔からの知恵の一つです。
もちろん、何でも書面で決めておくのが悪い訳ではありません。ただ、どこかぼやかしておく、そういう余裕をもつことが実は良い関係を続けるためには必要になることが多いようです。約束しておくことは、もちろんいいことですが、約束しないことにも実は良さがあるのです。
弊所も昔の電器店のようなクライアントとの信頼関係を目指して、日々奮闘しています。
弁理士 天野 広
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2.知財ニュース
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◆キッコーマン 「しょうゆ卓上びん」で立体商標登録
キッコーマンは4月17日、1961年より販売している「しょうゆ卓上びん」が2018年3月30日付で「立体商標」として登録されたと発表しました。(登録番号:第6031041号)
1961年の誕生から半世紀以上にわたってデザインは不変で、出荷本数は累計5億本を超え、現在は約100カ国で親しまれています。
この立体商標は、文字や図形が表示されていない食品容器として登録された、数少ない例です。これまでに文字や図形のない食品容器が「立体商標」として登録された代表的なものには、コカ・コーラのガラス製ボトル、ヤクルトのプラスチック容器があります。
同社は、ロゴや文字が印刷されていなくても、容器を一目見ただけで、「キッコーマンの卓上びん」と認識できることが公的に認められたことになったと述べています。
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3.連載 知財講座
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◆第60回:商標「最近の判決から学ぶ商標の重要性」
先日、人気洋菓子の「堂島ロール」で有名なモンシェール社(以下、モ社といいます。)が、「堂島プレミアムロール」を販売する大阪の堂島プレミアム社に対し、名称の使用差し止めや損害賠償を求めた訴訟の判決があり、大阪地裁は、名称の使用差し止めと約3,400万円の支払いを命じました(日経新聞、毎日新聞など)。
この裁判では、モ社が使用する堂島ロールのロゴと、堂島プレミアム社のロゴは類似する、また、堂島ロールは堂島プレミアム社設立時には周知の域を超え、著名と言えるほどだったとし、堂島プレミアム社は消費者が混同することをもくろんでいたことさえうかがえるとして、上記の判決となりました。
モ社については、旧社名(モンシュシュ社)のときに、「モンシュシュ(Mon chouchou)」の使用に対し、ゴンチャロフ製菓社から商標権侵害で訴えられた裁判において、2013年の第二審(大阪高裁)で約5,140万円の支払いが命じられました。
当時、モ社は、主力商品の「堂島ロール」は商標登録しておりましたが、会社名の「モンシュシュ(Mon chouchou)」を登録しておらず、お調べしましたところ、2009年から2011年にかけて、“Mon chouchou”の文字を含む12商標を出願しておりましたが、全て、ゴンチャロフ製菓社が先に登録した「MONCHOUCHOU\モンシュシュ」に類似するとして、拒絶されました。
このような状況から、「モンシュシュ(Mon chouchou)」の使用を諦めて「モンシェール」に改称したと考えられますが、遅すぎる判断から、高額の賠償金を支払うことになったと言えます。
また、モ社の登録商標「堂島ロール」(第5446720号)に対しては、「堂島ロール」の生みの親ともいえるホテルアンビエント堂島の調理シェフであった有田氏から、登録異議の申し立て(異議2012-900020)がなされました。
申し立てによると、『2003年、吉留氏(開業時の旧モンシュシュの経営者)と有田氏はロールケーキの製造、販売を行うこととなり、有田氏がこのロールケーキを「堂島ロール」と命名した。「堂島ロール」は半年ほどの間に大変な人気ケーキとなったが、吉留氏が他事業を開始し、「堂島ロール」の製造販売からいっとき離れた際、一販売員であった金氏が独立して、「堂島ロール」を販売した(現モ社)。
つまり、「堂島ロール」の製造販売の真の創案者および事業主体は、吉留氏である。そして、「堂島ロール」は、吉留氏によって使用された2003年から2006年までの間に需要者に広く知れ渡った。そのため、現モ社による「堂島ロール」が商標法第3条第2項(※後述)に該当するとして登録されたのは不当である。』と主張しました。
しかし、この有田氏の主張は認められませんでした。特許庁の決定では、『2003年から2006年の間は、金氏も営業に関わっていた。そして、現モ社に至るまで、「堂島ロール」を一貫して使用し、販売している。また、「堂島ロール」の著名性が全国的なものとなったのは2007年以降とみるのが相当である。』と判断されました。
2003年の開業時から、吉留氏や有田氏が商標の重要性を認識し、何らかの対策を行っていれば、このような事にはならなかったかもしれません。例えば、吉留氏や有田氏が個人の名義で商標を登録しておけば、販売員が新しい店舗で同名のケーキを販売することを防げたかと思われます。
これらの、「モンシュシュ(Mon chouchou)」と「堂島ロール」の商標に関する事件より、会社名(店舗名)や商品名などのブランドを保護(商標登録)しておくことの重要性を認識いただけることと思います。ブランドを守ることは、会社(お店)の信用を守ることと同義です。
3月30日配信の号外でお知らせしましたように、イメージの良い言葉や、広く知られる言葉は、いつ他人に先に登録されてもおかしくありません。今や、SNSの普及により、独自性の高い商品やお店の情報は、あっという間に拡散する時代です。お心当たりがありましたら、商標に関して、今一度、見直しをされてはいかがでしょうか。
※商標法第3条第2項について
「堂島ロール」は、「ロールケーキ」を権利範囲(指定商品)として登録されたものですが、通常は登録できません。それは、“堂島”は大阪にある地名で、“ロール”はロールケーキの略称としての慣用表示ですので、「堂島ロール」の文字から、通常、購入者は、『堂島を産地・販売地とするロールケーキ』ほどの意味合いを認識するにすぎず、購入者が商品の出所を識別できないと審査で判断されるためです。「博多ラーメン」が「ラーメン」の商品において登録できないのと同じです。
しかし、このような商標でも、使用によって周知・著名性を獲得した商標は、購入者(需要者)が、どこの商品であるかを識別できるため、商標の登録が認められるとされています(商標法第3条第2項)。
「堂島ロール」は、審査では拒絶されましたが、これを不服とした審判によって、販売期間・販売数・売上・マスコミの取り上げ量などの証拠によって、周知・著名性を獲得しているとの判断がなされました。
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4.事務所からのお知らせ
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◆売買希望の新着商標紹介(アット商標)
商標の売買仲介サイト「アット商標」に4月に掲載された販売希望商標のご紹介です。
詳細は「アット商標」でご確認いただけます。
興味のある商標がございましたら、気軽にお問い合わせください。
(1)[商標] P&S\パワーストーン
[権利範囲(指定商品)] 身飾品、宝石関係
[希望価格] 要相談
(2)[商標] 農民魂
[権利範囲(指定商品)] 米
[希望価格] 10万円
(3)[商標] LuXe\リュクス
[権利範囲(指定役務)] 鍼・灸・マッサージ関係
[希望価格] 要相談
【アット商標】 http://www.a-shohyo.com/
◆商標の審査に関する運用の改定
これまで、商標出願において、1区分内の類似群コード(商品・役務を分類するために特許庁が付与するコード)が8つ以上となる出願に対して、実際に出願人が指定した範囲の商品・役務について商標を使用しているか(または使用する意思があるか)合理的な疑義があるとしていましたが、この運用が改定され、2018年4月以降に審査する商標については、上記に該当しないとされる類似群コードの上限が「22個」となりました。
一つの商品に対して、複数の類似群コードが割り当てられた場合、従来はいくつ割り当てられても、コードの数を1とカウントしていたのに対して、4月以降は、割り当てられた分だけカウントすることとなりますが、ほとんどのケースでは、従来より広い範囲で登録することが可能となります。
※第35類の小売等役務における類似群コードのカウントは従来通りです。
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5.所員ほのぼの日記
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◆ラオスでの生活
今から10年以上前のことになりますが、私はラオスの首都ビエンチャンという街に住んでいました。きっかけは、大学在学中にゼミのテーマにたまたま開発途上国のラオスを選んだことでした。それまで東南アジアとは一生無縁だと思っていた当時のわたし。まさかそこで生活することになるとは・・・・。
未知の国だからこそ気になる。知りたい。行ってみたい!本当に行ってしまう。若気の至りですね。
卒業後なんとか職にも有り就け、いざラオスへ。
飛行機から見たラオスは、今まで見たことがないような綺麗な深緑が広がっていました。国土のほとんどが森。テレビでしか見たことない風景に「これからどんな楽しいことが待っているのだろう」と、入学したばかりの小学生かのようにワクワクで降り立った私。
迎えの車に乗り、職場の寮へ。ビエンチャンの中心街の道は整備されています。ですが、車通りは少なく、シートベルトはしなくてOK。警察が周りにいないときは信号無視。スピード制限あるのかないのか?爆走。初日からあの世に召されるのではないかと思いました。
ラオスでは車は高級品のため、多くの人はスクーターまたはバイクを持っています。1台のバイクに4~5人乗りは頻繁で、足元に子供2人立ち、座席に母ちゃん、その後ろにさらに子供が座るといった具合です。ボ○ジョイに負けず劣らずではないでしょうか。
さて、さっそく案内された寮。大きい一軒家の裏に併設された簡易な造りの建物。古く薄暗い小屋。1人部屋と聞いていたのですが、中へ入ると同居相手がお出迎え。ひとり、、、いや、大きくて黒いのが1匹、2匹、、、5匹「ギャー!!」。そう、忘れていたのです。暑い国にはそういうものがいることを。そして自分自身、虫が大っ嫌いってことを。
耐えられなくなって引っ越すまでの1か月、この小屋で巨大なゲッコー(ヤモリの一種)やその他の仲間たちと過ごすことになるのでした。
そんなラオスですがフランスの植民地だったこともあり、欧州からの観光客がたくさんいます。街には、パリのエトワール凱旋門のようなパトゥーサイという凱旋門があり、その前には大きな噴水広場があります。夕方になると多くの人たちがここでウォーキングを始めます。
カフェやベーカリーなども多くあり、フランスパンで作ったラオスサンドイッチはとても美味しいです。ラオスの主食はもち米です。フォーや、米粉で作ったうどんのようなカオ・ピヤックといった麺料理もたくさん食べられます。ベトナム料理とタイ料理が合わさったようなラオス料理の特徴は辛い・すっぱい・苦いと言ったところでしょうか。鶏肉はジューシーで柔らかく、夜になると街には屋台が並び、炭火焼の焼き鳥(大きいもも肉で100円程)をよく買って食べていました。
いつだったか「戦前の日本のようだ」と聞いたことがあるラオス。戦前の日本がどうだったかはよくわかりませんが、人は優しくシャイで謙虚。手先が器用で日本人によく似ていると思います。ある日、街中で自転車が壊れ困っていると、その辺で遊んでいた若いお兄ちゃんたちが集まって来ました。お互い英語もラオス語もできない中、何も言わずその自転車を直してくれたのです。すごく温かい気持ちになりました。東京の繁華街渋谷のお兄ちゃんが自転車を修理してくれるようなもんです。すごいですよね。
家族・近所の繋がりを大切にするラオスの人々。助け合いの精神を持っている国民は日本人だけではないのだと気づくことができる経験になりました。
こんな素晴らしい国、ぜひ行ってみてください。
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