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「加藤合同国際特許事務所~知財とびうめ便り~」 Vol.58
発信日:2018年 1月 4日 発信者:加藤合同国際特許事務所
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◇ 目 次 ◇
1.所長コラム
◆新春を迎えて -知的財産制度の未来-
2.知財ニュース
◆2016年世界特許出願件数、前年比8.3%増の313万件、中国6年連続1位、日本は3位
3.連載 知財講座
◆第58回:特許「冒認出願」
4.事務所からのお知らせ
◆知財セミナー開催
5.所員ほのぼの日記
◆「かいだんめぐり」とは
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1.所長コラム
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◆新春を迎えて -知的財産制度の未来-
新年あけましておめでとうございます。
皆さま健やかに初春をお迎えのことと存じます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
知的財産制度を取り巻く状況は、この20年で大きく変わりました。
そこで、今後50年後、100年後、知的財産制度はどのようになっているか、知財の未来を考えてみました。
知的財産制度の始まりは、諸説ありますが、「今から575年前の1443年、ベニス共和国で、発明に対して、特許が与えられたこと」だと言われております。このことから考えると、50年後、100年後もそんなに変わっていないようにも思いますが、果たしてどうなるでしょうか。
今の技術の進歩は目覚ましく、500年前の1年が今の1日に相当するかもしれません。そう思うと、500年かけて変化してきた知財制度もここ数年で大きく変化することも十分に考えられます。
知的財産権制度とは、知的創造活動によって生み出されたものを、創作した人の財産として保護するための制度です。その意味で、人類がいる限り、知財制度自体は存続すると思われます。
一方、知財の未来に大きな影響を与えるのは、AIの出現でしょう。
高段者のプロ棋士に人工知能が勝ったことで、一挙にAIが身近なものになってきましたが、AIが発明をしたり、また私たち弁理士が生業としている、特許明細書の作成や出願、また、特許庁が行っている審査業務に関しても、AIに取って代わられる時代は、そんなに遠くない将来に実現することと思います。
一部では、AIの台頭により多くの失業者が発生し、悲惨な未来を描く人が居ます。
AIは知財の世界だけではなく、いわゆる専門職と言われている、弁護士、公認会計士、税理士の業務内容を大きく変える可能性があるでしょう。特にビジネスとしての翻訳は、完全にAIに取って代わられる可能性が高いと思います。
それは悲観すべきことでしょうか。私はけっしてそうは思いません。
私は、AIの時代というのは、単に生きる糧を得るためだけに仕事をする必要がなくなり、言い換えると「労働=お金」の概念が変わり、自分の好きなことをして生きていけるこの世の楽園が実現する時代になると思っています。
この世から病気がなくなれば医者はいらなくなります。この世に悪いことをする人がいなくなれば警察官や弁護士、また人を裁く人は必要ありません。時代の流れとともに、特定の職業が無くなることは仕方のないことです。知財の世界で言えば、人が考えた知財をすべての人が尊重する時代になれば、知財制度自体が必要なくなるかもしれませんが、それは人間が霊的に成長するはるか未来のことでしょう。
そのような時代に大切なことは、人間力に他なりません。夢を描くこと、感動すること、人の心の痛みがわかること、悲しむこと、このようなことはおそらくAIにはできないでしょう。昨年悪いイメージがつきましたが、忖度(ソンタク)すること等々、人にしかできないことはたくさんあります。そのようなものをしっかりと蓄積することが必要だと思います。
内閣府知的財産推進事務局が平成29年11月16日に公表した資料(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/ )によりますと、需要量が供給量を上回った20世紀から、21世紀は供給量が需要量を上回り、単なる新技術、新製品でもお客様から選ばれないと売れない時代になると予測しております。
そのような時代に必要なことは、需要サイドを理解し、知的資産を活用してユーザの価値観に訴求することであり、将に、知的財産がますます重要になることは間違いなさそうです。
今年も、嬉しいこと、悲しいこと、様々なことが起きることでしょうが、人類にとって素晴らしい未来が待っていることを信じつつ、皆様にとって良き一年となりますようお祈り申し上げます。
代表 弁理士 加藤 久
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2.知財ニュース
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◆2016年世界特許出願件数、前年比8.3%増の313万件、中国6年連続1位、日本は3位
世界知的所有権機関(WIPO)は12月6日、世界の特許、商標、意匠の出願件数などをまとめた「世界知的所有権統計」(World Intellectual Property Indicators 2016 )を発表しました。
世界全体の特許出願件数は、前年比8.3%増で313万件となり、過去最高を更新しました。毎年大幅増が続く中国が全体の伸びをけん引しています。
国別では、中国が130万件(前年比21.5%増)で6年連続1位、次いで2位アメリカ61万件(同2.7%増)、3位日本32万件(同0.4%減)、4位韓国21万件(同2.3%減)、5位EPO(欧州)16万件(同0.4%減)となっています。
また、世界全体の商標出願件数(件数=区分の数)は、前年比16.4%増で700万件です。国別では、中国が圧倒的な1位で370万件(世界の約53%)、2位アメリカ55万件、3位日本45万件、4位EPO(欧州)37万件となっています。
詳細は、下記のURLよりご覧ください。
[URL] http://www.wipo.int/pressroom/en/articles/2017/article_0013.html
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3.連載 知財講座
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◆第58回:特許「冒認出願」
「冒認出願」という文言は文字だけを見ても意味が分り難いと思いますが、特許を受ける権利を有していない者が他人の発明を出願することを冒認出願といいます。例えば、発明者でない者が、その発明について特許を受ける権利を承継していないにもかかわらず出願することです。
ただし、「特許を受ける権利」は譲渡することができますので、「特許を受ける権利」を譲り受けた者が特許出願することは認められています。例えば、企業の特許出願は、従業員から「特許を受ける権利」を譲り受けて、企業が自らの名義で出願していることが多いのですが、これは「特許を受ける権利」を有する者による出願であり冒認出願とはなりません。
冒認出願は特許すべきではないので、審査において冒認出願であることがわかれば、拒絶されます(特許法第49条第7号)。
しかしながら、特許出願を審査する特許庁の審査官は、特許願に記載されている出願人が本当に特許を受ける権利を有する者であるか否かを判断することが困難であるため、冒認出願により権利化されてしまう可能性もあります。
このような場合、本来特許すべきでないことには変わり無いのですから、正当な「特許を受ける権利」を持っている人が無効審判を請求し、審理でそのことが明確になれば、その特許は無効となります(特許法第123条第1項第6号)。
また、平成24年4月1日以降の出願については、所定の条件を満たせば、真の権利者となる者は、冒認出願による特許権者に対して特許権の移転を請求できるようになりました(特許法第74条第1項)。
冒認出願が生じる場合としては、他人の家や会社に忍び込んだり盗聴したりするなどして、不法に知り得た発明を自分の名義で出願するような場合が考えられますが、実際には発明者の不注意が原因の場合も多いと言われています。
例えば、取引会社との打合せの席などにおいて、発明内容を取引会社の社員に話してしまい、それを聞いた社員が勝手に自分名義や取引会社の名義で出願してしまうようなことがあるからです。
前述したように、冒認出願によって権利化された場合の救済措置は設けられていますが、冒認出願であることを証明する証拠を揃えるのは相当困難であるのが実状です。
そこで、冒認出願を防止するために、取引会社との打合せなどの場合に発明内容を話したり、発明資料を渡したりしないこと、他人(他社)と共同して研究や開発を行う場合はそれによって得られた成果(発明)の取り扱い(無断で単独出願してはならない、出願するときは必ず共同出願する、あるいは誰の名義で出願するか など)を定めた契約書を作成しておくことが必要です。
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4.事務所からのお知らせ
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◆知財セミナー開催
九州経済産業局・日本弁理士会九州支部の主催で、知的財産の活用方法及び活用事例をテーマにした知財セミナーが佐賀市及び大分市で開催されます。参加には事前申込が必要で、参加は無料です。
【佐賀市】 日時:1月25日 14:00~17:00、会場:ホテル グランデはがくれ
詳細は、下記のURLよりご覧ください。
[URL] http://www.pref.saga.lg.jp/kiji00359278/3_59278_77417_up_i2jnpasg.pdf
【大分市】 日時:2月2日 16:00~19:00、会場:ホテル日航大分オアシスタワー
詳細は、下記のURLよりご覧ください。
[URL] http://www.jpaa.or.jp/cms/wp-content/uploads/2017/11/20180202_ooita.pdf
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5.所員ほのぼの日記
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◆「かいだんめぐり」とは
「階段巡り」ではなく「怪談巡り」でもなく、「戒壇巡り」と書きます。
お寺の中の真っ暗な回廊の中を手探りで進んでいくもので、長野県の善光寺のものが有名です。
高校生の時に、林間学校で初めて善光寺を訪れ、「かいだんめぐり」を体験しました。何も見えないという恐怖を感じながら、右の壁だけを頼りに回廊を進んでいきます。回廊に入ると、光の一切ない真っ暗闇で、目を開けているのに何も見えず、目を閉じているような何とも不思議な感覚にとらわれました。
ところが、回廊の途中で、私たちの前を行く小学生の団体が怖くて進めなくなってしまい、私たちも暗闇の中で立ち往生することとなりました。引率の先生と思われる方が、子供たちを一生懸命励まし、進むように声をかけますが、子供たちは進むことができません。
最終的にはお寺の方が、ライトをもって現れ、子供たちに進むように促しました。子供たちには、お寺の方が仏様に見えたかもしれません。
真っ暗闇の中で立ち止まっていた時間は数分だったと思いますが、なんだかとても長い時間に感じました。
数年前、善光寺で「かいだんめぐり」を再び体験することがありましたが、今度は40代くらいの女性の方がパニックになってしまいました。
私たちは、この女性の5、6組後ろにいたのですが、
回廊内には、
「何もあらへん。あんた、どこ?どこ?」
と女性の大きな声が響き渡っていました。
「落ち着いてください。右側に壁がありますから」
とその女性の後ろを行く方が冷静に声をかけます。
「何もあらへん、何もあらへん。」
「壁は右ですよ。左じゃないですよ。」
というやりとりが繰り返され、何とか女性の方は、出口にたどりつくことができました。
「かいだんめぐり」の体験は、光がない状況というのはとても怖いもので、それは大人であろうと子供であろうと変わらないということを改めて感じる貴重なものとなりました。
さて、長野の善光寺といえば、「牛に引かれて善光寺まいり」という逸話が有名です。
大まかな内容は、角(ツノ)に布を引っかけて走り去った牛を追いかけて善光寺まで来てしまった信仰心のないお婆さんが、その出来事をきっかけに、仏様を厚く信仰するようになるというお話です。思ってもいなかったことや他人の誘いによって、よい方に導かれることの例えとして使われています。
「牛に引かれて善光寺まいり」ではありませんが、何がどういう結果に結びつくのかはわかりません。だからこそ、何事もポジティブに2018年を過ごしていければなぁと思います。
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