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            「加藤特許事務所 ~知財 とびうめ便り~」 Vol.40
                        発信日:2015年 1月 5日
                        発信者:加藤特許事務所
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★ 目 次 ★
 1.所長コラム
  ●新年を迎えて

 2.知財ニュース
  ●2013年世界特許出願件数、前年比9%増の257万件、中国3年連続1位、日本は3位

 3.連載 知財講座
  ●第40回:PCT出願

 4.イベント案内
  ●新たな特許情報提供サービスの説明会開催

 5.事務所からのお知らせ
  ●国際出願関係手数料の改定のお知らせ

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1.所長コラム
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●新年を迎えて

 新年明けましておめでとうございます。
 皆様おすこやかに新春をお迎えのことと存じます。
 昨年は行き届かない点も多々あったかと思いますが、皆様の御蔭で一年を大過なく過ごすことができ、所員一同、心より御礼申し上げます。
 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、昨年は加藤特許事務所にとって創業20周年の節目の年であり、また光栄にも知財功労賞特許庁長官表彰を受賞した記念すべき年でありました。

 本年は、心機一転、新生加藤特許事務所として初年度となる年でもあります。
 皆様ご承知の通り、社会構造の変化や世界経済の動きに連動し、知的財産制度を取り巻く状況も、ここ数年で大きく変貌を遂げました。このことは、特許事務所の存在意義が問われていることでもあり、時代の変化に対応しない旧態然とした特許事務所が生きていけなくなることを意味します。従来の単なる出願業務のみでは、お客様の真の要望に応え、心からの信頼を得ることは本当に困難な時代になりました。


 私はこのようなことに思いを馳せ、浅学非才の身で誠に無謀ながら、創業直後から権利化された技術のビジネス化支援に力を注いでまいりました。

 皆様ご承知の通り、ビジネス化支援はそう簡単なことではありません。優れた能力と広いネットワークを持つ多くの優秀な人がチャレンジしても、万に一つ成功するかしないかの本当に厳しい世界であります。

 卓越した技術でなければ市場競争性がありませんし、逆に革新的な技術であればあるほどそれが世の中に受け入れられるには、大きな障害を乗り越えなればなりません。また出口が全く見えない気の遠くなるような長い年月に耐える精神力も必要です。

 しかしながらこれ以外に、知的財産制度を活用した九州地区の活性化は不可能であると確信し、またそれが弁理士の使命であると信じ、私は、今まで頑張ってまいりました。

 神様にその願いが通じたのだと思いますが、本当に幸いなことに、昨年は弊所にとって大きな成果が出た年でありました。

 一つ目は、遠赤外線技術に関するものです。
 開発者の苦節30年の努力が実り、現在世界で最大の問題となっている医療技術に対する一つの答えを出すことが出来ました。昨年はジュネーブにある国際機関でのプレゼンも成功し、本年は本格的なデビューが見込まれます。

 またこの技術は、現在評価されている分野にとどまらず、太陽風をエネルギーとするチャージレスバッテリー、食糧問題を根底から解決する人工光合成技術、また、人体や環境に優しい完全無農薬農業の実践など、他の多くの用途への応用も同時にすすんでおり、科学史に残る素晴らしい業績と言えます。
 このような技術に巡りあったことを本当に感謝するところです。將に弁理士冥利に尽きるということでしょうか。

 二つ目は、大幅なコストカットが可能なカーボンナノチューブに関する技術であります。あるホテルでの一年以上に渡る実験では、従来2500万円程度掛かっていたボイラー燃料費を200万円程度に、すなわち90%以上コストカットできることを確認しました。
 この熱源に関する技術はこの他にさまざまな分野への応用が可能で、本年からその展開に力を注ぐ予定であります。

 誠に残念ながら現段階で公表できませんが、この開発者は、このほかにも様々な革新的技術を開発しており、本年は世界展開の目処も立って本当に楽しみであります。

 この二つの事例から言えることは、開発者は可能な限りビジネスには口を出さず、開発に徹底する方がうまくいくということです。そのためには、繰り返し申し上げているように、優れた技術をビジネスに結びつける役目を担う人が必要となります。

 この他3つほどの素晴らしい技術を世の中にデビューさせることができました。
 このいずれもが、今後大きく発展していくことが期待できます。

 本年、加藤特許事務所では、このようなビジネス化支援サービスをさらに大幅に拡充し、また支援のための様々なネットワーク、例えば、九州に特化した数十億円規模のファンドの活用、事業化支援を得意とするコンサルティング会社や、販売促進に卓越した実績を持つ新進気鋭のデザイナーとの連携強化を図り、真にお客様に喜ばれる、どこにもないサービスの提供をしてまいる所存でございます。

 このことが、技術力には優れるもののビジネス化がうまくいかない九州地区の活性化につながり、さらには、そのことを通して、ものづくり日本全体の活性化、すなわち日本国民が自信を取り戻し、世界に冠たる幸せを実感できる国となることに繋がるものと信じております。

 さらに本年は、今後少なくとも30年間持続可能な特許事務所を目指し、加藤久自身の進退を含め、加藤特許事務所の世代交代を加速する年でも有ります。昨年年頭に西暦2020年を計画年度とする事業計画を策定し、その計画達成のために、所員の主要部分を30代、40代、50代で構成し、知的財産制度に関連するサービスの質を飛躍的に高めつつ、次世代、次次世代へのスムーズな交代をも可能にして参ります。

 以上のことを通し、本年はさらに皆様に喜んでいただける事務所を目指してまいりますので、引き続きご支援賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
 最後になりましたが、本年が皆様にとって輝かしい年となりますよう、所員一同心よりご祈念申し上げます。

                        所長 弁理士 加藤 久

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2.知財ニュース
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●2013年世界特許出願件数、前年比9%増の257万件、中国3年連続1位、日本は3位

 世界知的所有権機関(WIPO)は12月16日、世界の特許、商標、意匠の出願件数などをまとめた「世界知的所有権統計」(World Intellectual Property Indicators 2013)を発表しました。

 世界全体の特許出願件数は、前年比9%増で257万件です。国別では、中国が82.5件(前年比26.4%増)で3年連続1位、次いで2位アメリカ57.2万件(同8.7%増)、3位日本32.5万件(同4.2%減)、4位韓国20.5万件、5位EPO(欧州)14.8万件となっています。

 また、世界全体の商標出願件数は、前年比9%増で487万件です。国別では、中国が圧倒的な1位で188万件(世界の約40%)、2位アメリカ48.6万件、3位OHIM(欧州)32.5万件、4位韓国20.5万件などとなっています。

 詳細は、下記のURLよりご覧ください。
[URL] http://www.wipo.int/pressroom/en/articles/2014/article_0018.html


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3.連載 知財講座
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第40回:PCT出願

 PCT出願とは、特許協力条約(PCT:Patent Cooperation Treaty)に基づく国際出願のことを言います。これは、ひとつの出願によって、PCT加盟国すべてに同時に出願したことと同じ効果を与える出願制度です。

 2013年度の加盟国全体での出願件数は、約20.5万件でした。この出願は、日本語でも行うことができ、2013年の日本語での出願件数は、約4.3万件でした。全加盟国の総出願件数、日本語の出願件数ともに毎年増加傾向にあります。

 PCT出願以外の方法として、外国で特許権を取得するために出願手続きを行う場合は、一般的には日本に出願してから1年以内に優先権主張をし、権利化したいそれぞれの国毎に所定の翻訳文等を付けて直接出願をおこないます。

 一方、PCT出願を利用する場合は、一般的には日本に出願(基礎出願)してから1年以内に優先権主張をして、日本語でPCT出願をします。これにより、PCT加盟国すべてに対して出願したものとされます。

 その後、移行期限(多くの国が基礎出願日から30か月)までに、各国に移行する手続きを行い、それぞれの国で審査され、移行した国毎に登録されるかの判断がされます。すなわち、PCT出願(30か月)を利用すると、直接出願(1年)よりも、権利化したい国を決めるまでの検討期間が長くなります。

 特許出願は、研究成果がまとまってきた早い段階で出願されるため、事業としてどこの国で権利化すべきかの検討期間が必要なときに、ひとまずPCT出願をしておき、検討期間を確保するという利用がされています。

 また、最終的な審査は各国でされますが、PCT出願をすると国際段階で見解書を伴う国際調査報告(ISR)が発行されるため、出願後の早い段階で特許性の判断が得られます。さらに必要に応じて補正等を行い国際予備審査も請求することもできます。

 ただし、PCT出願自体に費用が発生し、その後、各国移行時にも翻訳等は必要になるため、移行国が少ない場合、その国に直接出願しておいた方が総額の費用は抑えられる可能性があります。また、台湾などのようにPCT出願では出願できない国もあるため、どの国で権利化したいのかはある程度早めに決めておくことも重要です。

 PCT出願は、国際的な事業展開を行う上で重要なため、弊所でも取り扱い件数が増えている手続きです。各種減免制度等もあるので、最新の情報をご提供し、どのように手続を進めたほうが良いかご提案させて頂きます。

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4.イベント案内
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●新たな特許情報提供サービスの説明会開催

 工業所有権情報・研修館は、現行の特許電子図書館(IPDL)を刷新して、平成27年3月23日より、新たな特許情報(実用新案、意匠、商標を含む)提供サービスとして、特許情報プラットフォーム(略称:J-PlatPat)を開始いたします。
 このサービス開始に先立ち、「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」の説明会が、福岡にて下記の要領で開催されます。

[日時]平成27年1月28日(水)13:30~14:45
[場所]八重洲博多ビル(福岡市博多区博多駅東2-18-30)3階会議室6
[定員]50名 ※受講料無料

 申込方法等、詳細は下記のURLをご覧ください
[URL] http://www.inpit.go.jp/info/j_platpat_info/setumeikai/h26fywm.html


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5.事務所からのお知らせ
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●国際出願関係手数料の改定のお知らせ

 2015年1月1日以降、PCT国際出願関係の手数料が改定されます。以下に一例を示します。

PCT国際出願時
 ・国際出願手数料(30枚まで) 154,800円 → 150,900円(▲3,900円)
 ・オンライン出願の減額    34,900円 → 34,000円(▲900円)
予備審査請求時
 ・取扱手数料         23,300円 → 22,700円(▲600円)


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加藤特許事務所
 

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