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      「加藤特許事務所 ~知財 とびうめ便り~」 Vol.14
                        発信日:2010年9月1日
                        発信者:加藤特許事務所
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★ 目 次 ★
  1.所長コラム
   ●弁理士試験の話

 2.知財ニュース
   ●特許庁、特許行政年次報告書2010年版を公表

 3.連載 知財講座
   ●第14回:立体商標 

 4.事務所からのお知らせ
   ●欧米の最新の特許情報の提供

※『イベント案内』は、今回はございません。

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1.所長コラム
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●弁理士試験の話

 弊所の末席に名を連ねます弁理士の中嶋です。今回は少し趣向を変えて、比較的
記憶の生々しい私めの弁理士試験の話など。

 弁理士試験は、マークシート方式の短答式筆記試験(5月下旬)、論文式筆記試
験(7月上旬)、口述試験(10月中下旬)の3本立てで、5ヶ月にわたる長丁場
です。当時(2000年頃)は論文試験にパスしないと「振り出し」に戻って短答
試験からやり直しだったため、論文試験の不合格通知を受け取る度に「またやり直
しか…」と落胆させられたものです(もちろん自分の実力不足なのですが)。

 当時の合格率が5~6%ぐらいではなかったかと記憶しておりますが、歳を食っ
て社会人しながらの受験だったため、最終合格までには4年を費やしました。勉強
不足だった1年目はともかく、2年目などは1字違いの同姓同名の合格者がいて、
自分の名前が…、と一瞬期待させられた反動でガックリきていたところへ、やはり
勘違いした知人からお祝いのメールが届いてきて、ダブルパンチでしばらく立ち直
れなかったものです。

 3年目は、公表された論点は全て押さえており、論文試験合格を確信したのです
が、フタを開けると、試験当日に軽い熱中症気味だった2年目よりも低評価でした。
  今にして思えば、インプットした知識をそのまま書き殴っただけで、訊かれたこ
とにストレートに答えた答案になっていなかったのでしょう。読み手を意識した文
章を書くことは、明細書作成上も重要なことなので、この点は今でも肝に銘じてお
ります。

 4年目にようやく筆記試験に合格し、東京で行われる口述試験に駒を進めること
ができましたが、よりによって自分の試験日に季節外れの台風が東京接近という予
想外の事態に見舞われ、試験もさることながら、帰りの飛行機が飛ぶのかが気になっ
て、試験そっちのけで緊張していたように思います。この日は、たまたま試験会場
となったホテルのロビーでドラマのロケをやっており、エレベータのドアが開くと、
かの有名女優が2人も立っていたのにびっくりしましたが、何とこの二人が私の女
神でした。

 合格したものの、当時は特許業界に縁もゆかりもない状態で、カフカの「城」よ
ろしく、自分には永久に入り込めない世界なのではないかと思ったこともありまし
たが、今は、色々な分野のお客様の発明、考案等を取り扱い、その面白さと難しさ
を感じているところです。ともすれば日々の業務に紛れがちな自分に、改めて初心
を思い出してネジを巻き直している次第です。

 弁理士 中嶋 和昭

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2.知財ニュース
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●特許庁、特許行政年次報告書2010年版を公表

 特許庁は7月15日、「産業財産権の現状と課題~125周年を迎えた産業財産権制
度~」と題する 特許行政年次報告書2010年版を公表した。

 2010年版の出願件数の概要は次の通り。

 特許出願件数は、2006年以降漸減傾向だが、2009年は348,596件(前年比10.8%減)
と落ち込み、うち、日本からの出願は、295,315件(10.5%減)で、1986年の水準ま
で減少した。景気後退の影響と考えられるが、量から質への特許出願戦略転換もある
と考えられる。

 意匠登録出願件数は30,875件(8.1%減)、商標登録出願件数は110,841件(7.0%
減)と、いずれも2008年に比べて減少した。

 一方、2009年のPCT出願件数では、日本は29,799件(前年比3.5%増)で、2003
年以降、米国に次ぐ2位を維持している。

詳細は、特許庁のWEBサイトをご覧ください。
URL: http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/shiryou/toushin/nenji/nenpou2010_index.htm

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3.連載 知財講座
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第14回:立体商標

○立体商標について
  特許庁に登録できる商標は、従来、文字・記号・図形又はそれらを結合したもの
に限られていましたが、法改正により、平成9年4月1日から立体商標の登録が可
能となりました。

 立体商標の例としては、日本の立体商標登録第一号である株式会社不二家のペコ
ちゃん(※1)人形や、KFC Corporationのカーネル・サンダース人形が有名ですが、
このような看板としての立体物以外にも、たとえば飲料水のビンの形状も立体商標
として商標登録することが可能です。かの有名なコカ・コーラ(※2)のビンも立
体商標として登録されています。

 ただし、ありふれた形状のもののみでは商標の出所識別機能を満たさないとして
商標登録はできません。立体商標を登録するためには、工夫をこらした特徴的な立
体的な形状のものであり、かつその立体形状が独立して自他商品識別力を有する必
要があります。

(※1)「ペコちゃん」の文字も株式会社不二家の商標登録です。
(※2)「コカ・コーラ」は、ザ コカ・コーラ カンパニーの商標登録です。

○意匠登録との違い
  意匠法は『デザインの保護』、商標法は『業務上の信用の保護』を目的とした制
度であって、保護する対象が異なります。
  例えば、「飲料水のビン」について意匠登録した場合、ビンの外観形状(デザイ
ン)についての意匠(類似するものを含む。)を独占的に実施する権利を有するこ
とができます。対して、「飲料水のビン」について立体商標を登録すれば、このビ
ン(立体商標)を商品やサービスに独占的に使用する権利を有することができます。

○出願の際のご注意
  立体商標出願を行う場合、願書に立体商標である旨を記載しなければなりません。
また、願書には立体商標の形状を正確に把握できるように記載しなければならない
ため、意匠出願で記載する六面図(正面、上面、側面方向等から見た図)と同じよ
うな図形の記載が必要な場合があります。

 弊所では、現物や写真から上述のような六面図を作成するノウハウもございます。
立体商標について興味のある方は、ぜひ一度ご相談下さい。

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4.事務所からのお知らせ
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●欧米の最新の特許情報を提供いたします

 この夏に、欧州および米国から海外特許代理人の来訪を受け、欧米の最新のトピッ
クスにつきプレゼンを受けました。当該代理人の了解の下、受領したプレゼン資料
の皆様への提供が可能です。興味のある方はお申し出下さい。

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