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      「加藤特許事務所 ~知財 とびうめ便り~」 Vol.12
                        発信日:2010年5月6日
                        発信者:加藤特許事務所
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★ 目 次 ★
  1.所長コラム

 2.知財ニュース
   ●日米欧韓中の五大特許庁会合開催

 3.連載 知財講座
   ●第12回:意匠権概要

 4.イベント案内
   ●平成22年度 特許流通講座 講座開催

 5.事務所からのお知らせ
   ●平成22年度 中小企業等特許先行技術調査の支援事業制度

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1.所長コラム
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当事務所 客員弁理士 久保浩三教授が知的財産本部長を勤める奈良先端科学技術
大学院大学が国立大学評価において全国第1位となった。
久保教授から本とびうめ便りに下記寄稿を受けたのでご紹介する。

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 先日、3月25日付けの朝日新聞朝刊第1面に全国86国立大学の順位表が発表され
た。これは、国立大学が2004年に法人化されてから、研究や教育について、6年の
中長期計画を提出し、それが実現されているかどうか評価を受けるもので、その結
果により国からの予算(運営費交付金)の配分額が決定されるというものであり、
教育水準、研究水準、教育研究達成度、業務運営達成度の4つの評価結果を元に評
価が行われる。
  大学が国から評価を受けることは初めてのことで、奈良先端科学技術大学院大学
が全国1位の評価であったというニュースは全国を駆け巡った。

 読売、毎日、産経、日経の全国誌は言うに及ばず、各地方誌、日刊ゲンダイ、夕
刊フジ等においても広く取り上げられた。福岡でも西日本新聞が、3月25日朝刊に、
九州工大16位、九州大18位、熊本大22位という記事と共に、奈良先端科学技術大学
院大学が首位であることを掲載している。
  今まで、知名度のあまり高くなかった奈良先端科学技術大学院大学が一躍全国区
になったわけである。

 実は、奈良先端科学技術大学院大学は、一般の方にはあまり知られていなかった
が、専門家の間では高く評価されていた。加藤所長は、かなり前から奈良先端科学
技術大学院大学の実力を評価し、その連携を図っていた。特に、産学連携、知的財
産に大きな成果をあげていることを早くから注目し、意見交換を定期的に行ってき
た。
  国立大関係者のコメントによると、国立大順位付けにおいても産官学連携に力を
入れていることも影響しており、具体的には、教員一人当たりの知的財産ライセン
ス収入が全国一であること、大学発ベンチャー数が全国一であること等の実績が評
価されている。

 加藤所長から1位の秘訣はということを聞かれ、明確な目標を立て日々着実に実
践していくこと、その際、有効なことに時間を注ぎ無駄なことを排除する、何が有
効で何が無駄かは吟味の上、経営者、マネージャーが全体のコストパフォーマンス
を考え判断するということを申し上げている。
  これは、当に、加藤特許事務所の方針ともぴったりするようで、そのことが、お
互いの連携がうまくいっていることの理由であると考えている。

 知的財産の取得から権利の活用まで、加藤特許事務所は、何が重要で、何がそう
でないかのアドバイスも積極的に行っているので、是非、活用していただきたい。

 客員弁理士 久保 浩三

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2.知財ニュース
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●日米欧韓中の五大特許庁会合開催
  4月15、16日の両日、中国・桂林で、第3回目の日米欧韓中の特許庁長官による
会合が開催された。
  世界の特許出願件数は、2007年には約185万件にまで達しているが、日米欧韓中の
五大特許庁への出願が約141万件と8割近くを占めており、また、その3割に当る約
43万件が五庁内で内容が重複した出願となっている。このような世界的な出願増加
で、急増する審査負担への対処が大きな課題になっている。

 今回の会合で、その大きな課題解決に向けた審査のワークシェアリングや特許手
続の効率化などの取組について、進捗報告がなされた。また、我が国が提唱する出
願書類等のXML形式データの記述様式の国際標準化の重要性、今後の五庁協力の
短期・中期・長期目標の設定などについても活発に議論され、今後の五庁協力をさ
らに強化していくことで合意がなされ、閉幕した。

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3.連載 知財講座
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第12回:意匠権概要

 新規で独創性のあるデザイン(視覚を通じて美感を起こさせるもの)を創作した
ときは、特許庁に意匠登録出願することにより、その意匠について独占的な実施権
を取得できます。ただし、物品と結びつかない図柄やアニメ・マンガのキャラクタ
ー等のデザインそのものは、工業性がないということで意匠登録の対象となってい
ません。それらは著作権の保護の対象となり得ます。

1.意匠登録出願の種類

(1)通常の意匠登録出願
  以下の特別な意匠登録出願以外の意匠登録出願です。

(2)関連意匠登録出願
  自己の登録意匠と類似する意匠の意匠登録出願です。通常の意匠登録出願が登録
されたときは、登録された意匠と同じ意匠のほかに、それと類似する意匠も保護さ
れます。しかし、どの範囲までが類似するか、すなわちどの範囲まで保護されるか
を予め決めるのが難しいので、先に(または同時に)出願された意匠(本意匠)と
類似していると考えられるデザインも関連意匠として出願することにより、本意匠
の類似範囲を明確にしておくことができます。

(3)部分意匠登録出願
  物品全体のデザインではなく、特定の部分のデザインです。その部分の意匠が類
似しておれば、他の残りの部分が類似していなくても、意匠権の範囲が及びます。
例えば、Tシャツの胸部の図柄、携帯電話のボタンの配列、ゴルフクラブのグリッ
プ等です。

(4)組物の意匠登録出願
  一組のコーヒーセット、一組の薬味入れセットなど、同時に使用される二以上の
物品であって省令で定めるもの(組物)については、全体として形状、模様等の形
態に統一性がある場合は、組物として意匠登録を受けることができます。

(5)秘密意匠
  意匠登録がなされると、通常は意匠公報に意匠の内容が掲載されますが、意匠の
特殊性から、企業によっては新製品発表前に意匠公報に公表されることが企業活動
にとって不利になることが考えられます。そのため、意匠登録から3年以内の期間
を指定して、意匠の内容を非公開(秘密)にすることができます。出願時、または
第1年分の登録料納付時に請求することができます。

2.意匠権の内容

 意匠権は、意匠登録出願した意匠が、所定の登録要件を満たした場合に付与され
る権利であり、その内容は、「意匠権者は、業として登録意匠及びこれに類似する
意匠の実施をする権利を専有する。」というものです。
  そして、意匠権の存続期間は、設定の登録の日から20年(平成19年3月31日の出
願までは15年)をもって終了します。関連意匠の場合の存続期間は、本意匠の存続
期間の満了の日までです。
  意匠の実施をする権利における「実施」とは、意匠に係る物品を製造し、使用し、
譲渡し、貸し渡し、輸出し、若しくは輸入し、又はその譲渡若しくは貸渡しの申出
(譲渡又は貸渡しのための展示を含む。以下同じ。)をする行為をいいます。

 登録意匠の範囲は、願書の記載及び願書に添附した図面に記載された意匠、また
は添付された写真、ひな形若しくは見本により現わされた意匠に基づいて定めなけ
ればならない、とされています。
  意匠権の範囲は、登録意匠のほかに、これに類似する意匠も含みます。登録意匠
に「類似する意匠」かどうかの判断は、需要者を基準に行われます。

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4.イベント案内
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●平成22年度 特許流通講座 講座開催
  独立行政法人工業所有権情報・研修館は、特許流通市場へ参加する人材を増加さ
せるための普及啓発として、特許流通、技術移転に携わる意思のある方や興味のあ
る方を対象に、特許流通、技術移転に関する基礎的な知識を習得することを目的と
した「特許流通講座」を全国8都市で開催します。参加は、無料です。九州での開
催場所は福岡市のみで、開催日は6月30日です。

 詳細は、工業所有権情報・研修館のWEBサイトをご覧ください。
URL: http://www.ryutu.inpit.go.jp/training/index.html
 
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5.事務所からのお知らせ
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●平成22年度 中小企業等特許先行技術調査の支援事業制度
  中小企業・個人の方の平成19年4月1日以降に出願した特許出願について、特許庁
から委託を受けた調査事業者が無料で先行技術調査を行い、調査結果を送付致しま
す。
  審査請求を行うか否かの判断の参考にご活用下さい。本制度を活用したいご要望
があれば、弊所より調査事業者に依頼致します。

 詳細は、特許庁のWEBサイトをご覧ください。
URL: http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/torikumi/chushou/senkou_chousa.htm

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