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      「加藤特許事務所 ~知財 とびうめ便り~」 Vol.05
                        発信日:2009年3月2日
                        発信者:加藤特許事務所
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 大宰府天満宮の飛梅が1月29日に開花しました。厳しい寒波の影響で例年よ
り約2週間おくれての開花となりました。今は、他の梅も一斉に咲きほこり、春
の訪れが間近であることを告げております。
  日本の景気も春が近いことを期待したいものです。               

★ 目 次 ★
  1.所長コラム
   ●未曾有の不況の中、中小企業は今なにをなすべきか
  2.知財ニュース
   ●IP・eラーニングの紹介 
   ●商標の早期審査・早期審理の対象が拡大
  3.連載 知財講座
   ●第5回:特許 優先権について
  4.イベント案内
   ●中小企業経営に役立つ知財活動支援セミナー開催(3月6日)

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1.所長コラム
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●未曾有の不況の中、中小企業は今なにをなすべきか
  未曾有の不況の中、「今こそ、単なる下請け体質から抜け出し、自主独自の製品、
サービスを確立すべきだ。」とよく言われます。具体的には、中小企業は今なにを
なすべきでしょうか、また、どのような点に注意して商品開発を行ったらよいので
しょうか?

 私は、次の3項目が重要と考えています。

1.自主独自製品開発の推進

 下請け企業は、元請企業の言うものだけを作っていればよいので、開発のリスク
は少ないかわりに、今回のような世界的な不況がくれば、その影響を真っ先に受け
ます。そこから脱却するためには、畢竟、自主独自製品を持つということに尽きま
す。
  しかし、そのためには、新しい商品を開発しなければいけないわけですから、人
材の投入、金銭の投資等のリスクを背負うことになります。

2.社内での徹底的議論の必要性

 実際にどのような商品が売れるかどうかは、誰にも明確にはわからず、市場調査
をしても完全に当たるわけでもありません。大企業も、中小企業もみな、そこで苦
労するわけですが、全く「当てもの」のようなものではなく、各社、如何にしてそ
のリスクを減らすかに苦心をしています。そこで、そのリスクを軽減する方法です
が、あるシーズやニーズがあったときに、それを商品化するために、社内で徹底的
な議論を行うことが必要です。この議論を商品開発スタート前に、どこまで徹底し
て行うかがポイントです。
  しかし、新しい分野ですから、その分野について、技術的、マーケット的に全て
の人材を社内で賄うことは一般には困難です。そこで、その人材を外部に求めます。
これが次のオープンイノベーションです。

3.成功確率を高めるために外部人材の導入

 商品化に当っては、社内の発明者や技術者に加え、マーケットや知的財産に詳し
い外部人材も交え徹底的に議論を行い、研究開発の方向性から一緒に考えていかな
ければなりません。つまり、今後は、成功確率を高めるために、外部人材(守秘義
務が守れて、社内に刺激を与えることのできる方)との討論を積極的に行っていく
必要があります。特に、新規商品開発の為の特許調査や商標調査、得られた研究成
果の特許権や商標権による適切な保護は、自主独自商品開発の為のポイントの一つ
と考えます。

 加藤特許事務所は、上記の課題に対し企業での講演や指導等のサポートが可能で
すので、是非、ご活用下さい。

 所長 弁理士 加藤 久

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2.知財ニュース
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●IP・eラーニングの紹介
  工業所有権情報・研修館は、パソコンや携帯型端末からインターネットを通じて、
特許庁の有する知識、経験及びノウハウにもとづいて作成した国内外の産業財産権
(特許・意匠・商標)に関する学習教材を無料で提供しています。産業財産権を現
在学んでいる方、今から学びたい方などには最適な教材と思われます。利用の際は、
前もってユーザ登録を行い、専用のユーザIDとパスワードを取得する必要があり、
また、ユーザ数に限りがあるため、すぐに利用できない場合がありますのでご留意
下さい。

詳細及び事前登録は、工業所有権情報・研修館のWEBサイトをご覧ください。
URL: http://www.inpit.go.jp/jinzai/ipe_learning/index.html

●商標の早期審査・早期審理の対象が拡大
  特許庁は、現在商標登録出願についての審査及び審理について、所定の要件を満
たす出願については、早期に審査・審理を行う運用を行っていますが、今回新たに
出願人又はライセンシー が、出願商標を 既に使用している(又は 使用の準備を相
当程度進めている)商品・役務のみを指定商品(指定役務) としている出願・審判事
件についても、早期審査・早期審理の対象となります。
  運用は、平成21年2月1日以降に提出される早期審査・早期審理の申出から適
用されます。早期の権利化等を希望される場合は、是非ご活用ください。

詳細は、特許庁のWEBサイトをご覧ください。
URL: http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/torikumi/t_torikumi/souki/taisyou_kakudai.htm

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3.連載 知財講座
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第5回:特許 優先権について
  1883年に、工業所有権の国際的保護のための同盟条約であるパリ条約が成立
し、わが国も1899年(明治32年)に加盟しました。このパリ条約の基本原則
として、(1)内外人平等の原則、(2)優先権制度、(3)各国特許独立の原則
があります。

 この中で、優先権制度は、「いずれかの同盟国(第一国)において正規に出願を
した者(またはその承継人)は、他の同盟国(第二国)において出願する場合、特
許出願、実用新案については12箇月、意匠、商標については6箇月の優先権を有
する。」というものです。

 通常、各国の特許法等は新規性、進歩性、先願優位性を採用しており、世界各国
で工業所有権を取得するには、理論的には同時に出願する必要があります。しかし、
各国の法令の違いや出願の言語の問題があり、同時に出願することを課することは
非現実的です。
  そこで、パリ条約の加盟国においては、優先権を主張すれば、第二国において出
願を審査する際に、第一国の出願日に出願したものとして取り扱うこととしたもの
です。
  この優先権により、第一国の出願日以降に発明等の内容を公表したり、商品を販
売したり、第三者が別に出願したりしても、不利な取り扱いを受けることはなく、
また第三者のいかなる権利又は使用の権能も生じさせません。外国出願に際しては、
この優先権を主張することが常套手段となっています。

 なお、パリ条約が規定するのは、第一国と第二国とが異なる国の場合ですが、わ
が国では、特許、実用新案について、一定の要件を満たす場合、1年以内に先の出
願の優先権を主張して新たに特許出願、実用新案登録出願をすることができます。
この制度を、パリ条約の優先権と区別するために「国内優先権」といっています。

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4.イベント案内
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●中小企業経営に役立つ知財活動支援セミナーの開催
  特許庁は、中小企業の知的財産を支援する人材の育成事業の一環として、本セミ
ナーを全国5ヶ所で開催します。
  中小企業経営を支援する立場の方、また知財活動に取り組もうとしている企業経
営者などを対象にしたセミナーです。参加は無料ですが、参加には事前に申込みが
必要です。九州での開催は、福岡市のみです。

○開催日 福岡市:3月6日(場所:福岡商工会議所5F) 

申込み・詳細は、特許庁のWEBサイトをご覧ください。
URL: http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/torikumi/ibento/ibento2/tizaisien-seminar.htm

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